山口県の医療費
我が国は、国民皆保険の下、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を実現してきましたが、急速な少子高齢化の進展、経済の低成長など社会経済情勢が変化する中、医療費の増大等により医療保険財政は厳しい状況が続いております。医療保険制度を持続可能なものとし、将来にわたり国民皆保険を堅持していくためには、医療費が過度に増大しないよう医療費適正化の推進を図る必要があります。
こうした中、平成18年の医療制度改革において、国民に質の高い医療を提供しながら、医療提供体制の効率化を図り、医療費適正化を進めることとされ、医療費が全国平均より高い山口県におきましても、これまでの医療費適正化の取組に加え、今後は、特に、生活習慣病予防や効率的な医療提供体制の確立に努める中で、中長期的に医療費適正化を図っていくことが求められています。このため山口県では、医療費適正化を計画的に推進するため「山口県医療費適正化計画、検討会」の委員の皆様をはじめ、広く県民の皆様の御意見等をいただきながら、新たに「山口県医療費適正化計画」を策定いたしました。
本計画では「住民の健康の保持の推進」と「医療の効率的な提供の推進」を主たる柱とし、保健医療計画など関連する計画等とも整合を図りつつ、医療費適正化に関連する取り組みを総合的・一体的に推進することとしております。
１基本理念
(1)県民の生活の質の維持及び向上を図るものであること
医療費適正化のための具体的な取組は、県民の生活の質を確保・向上しつつ、良質な医療の効率的な提供を目指すものとします。
(2)超高齢社会の到来に対応するものであること
高齢化が進展する中、医療費適正化のための具体的な取組は、県民の医療費の負担が過大なものとならずに、誰もが安心して医療サービスを受けられるよう、結果として医療費の伸びを中長期にわたって徐々に下げていくものとします。
２計画に定める事項
高齢者の医療の確保に関する法律（昭和57年法律第80号。以下「法」という）第９条第２項の規定により、計画には次に掲げる事項を定めます。
①住民の健康の保持の推進に関し、県において達成すべき目標
②医療の効率的な提供の推進に関し、県において達成すべき目標
③①及び②に掲げる目標を達成するために県が取り組むべき施策
④①及び②に掲げる目標を達成するための保険者、医療機関その他の関係者の連携及び協力
⑤県における医療費の調査及び分析
⑥計画期間における医療費の見通し
⑦計画の達成状況の評価
⑧①～⑦に掲げるもののほか、医療費適正化の推進のために県が必要と認める
事項
第３節計画の位置付け
この計画は、法第９条の規定に基づく「都道府県医療費適正化計画」として策定します。
この計画は「住民の健康の保持の推進」と「医療の効率的な提供の推進」を主たる、柱とし「健康やまぐち２１計画、」、「山口県保健医療計画」、「山口県地域ケア体制整備構想」及び「やまぐち高齢者プラン」と密接に関連していることから、医療費適正化に関連する取組を総合的・一体的に推進するため、以下のとおり、整合を図っています。
１「健康やまぐち２１計画」との整合
この計画における住民の健康の保持の推進に関する取組の内容と「健康やまぐち、２１計画」における生活習慣病対策に関する取組の内容とが整合し、両者が相まって高い予防効果を発揮するようにします。
２「山口県保健医療計画」との整合
この計画における医療の効率的な提供の推進に関する取組の内容と「山口県保健、医療計画」における良質かつ効率的な医療提供体制の構築に関する取組の内容とが整合し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が実現されるようにします。
３「山口県地域ケア体制整備構想」及び「やまぐち高齢者プラン」との整合
この計画における療養病床の再編成に関する取組の内容と「山口県地域ケア体制 整備構想」における療養病床の転換後の受け皿に関する事項及び「やまぐち高齢者プラン」における介護保険施設等の整備等に関する取組の内容とが整合し、療養病床から介護保険施設等への円滑な転換が図られるようにします。
※「療養病床」とは、主に長期療養が必要な患者が入院する病床。医療保険が適用される医療療養病床と介護保険が適用される介護療養病床があるが、介護療養病床は平成23年度末をもって廃止される。